位相幾何学と不完全情報空間の戯書

初代ぷよルールの考察と文章の練習

中央始動の多連鎖で何故横3形が良く使われるのか

初代ぷよは5連鎖で済むことから、一つのぷよの無駄で勝負が決まることもままあります。

そのような無駄を生まないために、中央始動の多連鎖を組む上でプレイヤー達は横3形をよく好みますが、その感覚的な部分を言語化してみたという話です。

 

ぷよを消して、1個のぷよを3連結のぷよに接続する時を考えます。

 

①横3

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②L字

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③逆L字

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④縦3

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お邪魔ぷよは2連鎖を作るための緑ぷよの仮想の位置とします。

その個数はそれぞれ横3、L字、逆L字は5個、縦3は7個

単純に連鎖が一番繋げやすいのは縦3のように見えますが、そうとは限りません。

 

列の概念があるため、縦3を2連鎖目以降で消そうとするとき、①縦3を作った列、②縦3の左隣の列、③縦3の右隣りの列の合計3列のいずれかには置かなければいけません

そして、一組のぷよは必ず1列か連続した2列にしか置くことが出来ません

そのため、実戦では4連鎖を組んでる時に例えば6列目に子ぷよを置きたいかつ、親ぷよは2列目の縦3に接続したい!ということがある時にはどちらかを捨てなければいけないことになります。

よく実況などだと「両方のぷよが使えない」「81が使えない」などと言われると思います。

これを列域の壁と呼びます。

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↑5連鎖を完成させるためには4列目と6列目にしか列域が残ってないため、列域の壁に発火が阻まれた図

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↑列域の壁のイメージ図

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↑一番遠い例

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↑壁です

 

列域は連鎖するために置かなければいけない、ぷよの候補列達(最初の4つの図における、お邪魔ぷよが存在している列数)と考えてください。

その定義に則って計算すると、列域は横3が5列、L字、逆L字が4列、縦3が3列となります。

そのようにして考えると、ぷよを一つも無駄にしないためには、列域の壁に阻まれないためには列域が一番広い横3が最も強いのではないでしょうか。

 

もちろん横3にはデメリットもあります。

まず形を作るための難易度として、高さが揃ってる列を3つ使うため、2段目、3段目以上で毎回意図して作るのは難しいです。

次に作った後の制約としては、2段目以上に作ると、横方向には消える高さが一段しかないため、以下の図のようにすかってしまう危険が挙げられます。そのため、他のL字や縦3以上に段差計算や構築で注意する必要があります。

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↑スカる例

また、今回の話では3個のぷよに1個のぷよを繋げて消す例でしたが、1個のぷよに3個のぷよを繋げるような場合では、全て同じ高さでぷよを進行させなければいけないため、横3を一気に消すのは難しいでしょう。

 

デメリットを考慮し、総合的に考えると、横3は作りやすい1段目で作って、横3に1個のぷよを落として消す用途で使うなら、1連鎖分のタネとして非常に優秀という結論になります。

 

 

表題に戻りますが、なので横3が中央始動の多連鎖で良く使われるようになったのでしょう。

実際、魔法陣や車輪は1段目に二つの横3の候補を作れるため、その点においてもうってつけの土台です。

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以下さらに細かい話とか

実は列域はL字で作っても同じです。

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しかし、その次の土台に問題があります。

実は、L字を作った場合はL字の土台の上に横3を作ることが難しくなります。

何故それが悪いのか?先ほど2列目以上ではデメリットも生じるのではなかったのか?という疑問も湧くと思いますが、

 

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↑緑(3つ目の土台)は横3に出来ない

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↑鉄ぷよの位置に紫か黄色を置かなければ成立しない(つまり成立条件が厳しい)

 

赤と黄色が1つ目、2つ目の土台、赤と黄色の上に置いた緑が3つ目の土台ということになりますが、この3つ目の土台は2連鎖目以降にすることが多い(5番目に4の倍数になったぷよで発火することが最善とすると、3つ目の土台がその色になる可能性は高くないため)です。

そのため、3つ目の土台は2連鎖目以降のパーツとして、列域を意識した形にしたいため、なるべく横3を作りたい、という話になります。

 

実は片方がL字でも横3は作れます。

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しかし、この形は1列目が使いづらく、1列目に置いたぷよは列域が狭くなりがちになります。

なるべく多く全ての土台の列域を被らせて無駄ぷよをなくすという方針には合わないでしょう。

 

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そう考えると、1列目に2つ横3を作ることで列全体を底上げすることで、そのような先の1列目を無くし、さらに2段目に横3の形を作ったことで生まれる段差計算や今後の形制限などの制約をある程度打ち消しているのです。

 

 

 

 

底上げを是として歴史を振り返ると、魔法陣が発展するにつれて下の図の3手目で紫ゾロが来たときは5列目ではなくて3列目に置く置き方が主流となりましたが、これは横3を二つ作るための手と言われています。

 

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また、中央始動において2手目で1段目に横3が二つ作れなくなる初手もかつては主流でした。今は多分絶滅危惧種

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